➂懲戒解雇
懲戒解雇とは、懲戒処分としての性格をも有する解雇のことです。すなわち、企業秩序の違反に対して使用者によって課せられる一種の制裁罰として、使用者が有する懲戒権の発動により行われます。
このように、懲戒解雇は、懲戒処分としての側面を有するため、普通解雇よりも大きな不利益を労働者に与えるものですから、普通解雇よりも厳しい規制に服します。
一般的には、懲戒解雇事由となるような服務規律違反は、たんに普通解雇を正当化するだけの程度では足りず、制裁としての労働関係からの排除を正当化するほどの程度に達していることを要します。
懲戒解雇が無効になる場合
懲戒解雇は、懲戒処分としての側面と解雇としての側面を有することから、懲戒処分を行うための要件及び解雇権を行使するための要件の両方の要件を満たす必要があります。
具体的には、次の各要件を満たさない懲戒解雇は無効となります(労働契約法15条、16条)。
ア 根拠規定の存在
就業規則に懲戒解雇についての定めが必要です。
具体的には懲戒の種別及び事由を明示する必要があります。
イ 客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められること
基本的な考え方は、普通解雇の項目で述べた考え方と共通します。
もっとも、「懲戒」解雇であるため、普通解雇より厳しく判断されます。
懲戒解雇が無効となった場合、会社に対して、求め得るもの
普通解雇と同様、①地位確認、②金銭請求(バックペイ)が可能となります。